ペナントの攻略
さて、今回もFXのチャートパターンを学習していきます。
今日のお題は、ペナントです。
前回、フラッグの攻略法についてお話していますが、フラッグとペナントは、非常に共通点の多いチャートパターンになります。
フラッグの攻略法については、こちら【為替(FX)チャートパターン】フラッグの攻略法をご覧ください。
ペナントは、比較的短い期間で形成され、その形は、三角形で対象トライアングル(三角持ち合い)を小さくしたような形をしています。
半旗の位置ではばたく
フラッグもペナントも「半旗の位置ではばたく」という格言があります。
要するに、直近のトレンドを再び継続させ、行く行くは、直近のトレンドと同じ値幅分伸びる可能性を秘めているのです。
非常に大きなトレードチャンスとなりますので、フラッグやペナントを見つけた際は、積極的にトレードをしていきましょう。
ペナントの形
まずは基本形から
上図が基本的なペナントの形を図にしたものです。
急激な上昇トレンドの第1波が出た後、相場は、利益確定を行う勢力と新規の買いを仕込むトレーダーの勢力戦が展開されます。
チャートを見ていますと、小休止をしているかのように見えます。
また、出来高にも注目することが必要です。
ペナント内を価格が行き来している間は、出来高が少ない傾向にありますが、ペナントの上辺を上抜けする際、大きな出来高の上昇を伴います。
それでは、順番に見ていくことにしましょう。
ペナントの実際のチャート
実際のチャートをご覧ください。
上図は、ユーロ・ドルの4時間足で、下降トレンド中に現れたペナントの例です。
ペナントは、上下のラインが次第に収束する「くさび(対称三角形)」のような形をしています。
チャート上によく表れる三角形には、ペナントの他に、シンメトリカルトライアングル(俗にいう三角持ち合い、対称型トライアングルという)、アセンディングトライアングル、ディセンディングトライアングル等があり、それぞれ現れる場面や、現れた時の対処法は異なりますので、よく見極めることが非常に大切です。
- シンメトリカルトライアングル
俗にいう三角持ち合いで、対称型トライアングルとも呼びます。
その名のとおり、上下のラインが次第に収束していく形をしていますが、ペナントと違って規模が大きく、買いと売りが拮抗する持ち合い相場で現れます。
シンメトリカルトライアングルは、上下どちらに動くかわかりませんので、収束の度合いが小さくなってきた段階では、上下のラインどちらかをローソクの実体レベルで抜けてからエントリーを慎重に判断する必要があります。
教科書で書いてあるほど簡単には勝たせてもらえませんので、今後詳細に解説をしていく予定です。
- アセンディングトライアングル
アセンディングトライアングルは、三角形の形をしていますが、上辺の高値がフラットで、下辺の安値が切り上がっています。
買いの勢力が徐々に売り勢力を攻めているようにも見えます。
そのため、多くは、強気(上昇)を暗示します。
これも今後、詳細に解説していくつもりです。
- ディセンディングトライアングル
こちらは、アセンディングトライアングルと反対で、下辺の安値がフラットで、上辺の安値が徐々に切り下がる形をしており、弱気(下降)を暗示します。
売りの勢力が徐々に買い勢力を追い詰めている感じですね。
こちらも、今後、詳細に解説したいと考えています。
図に戻りますが、急激な下降トレンドの中盤で一休止している場面であることがおわかりいただけると思います。
先ほど、ペナント内で5点つけることが多いと述べましたが、ペナントの形は小さいので4時間足ではわかりずらいと思います。
よって、1時間足のチャートを見てみましょう。
価格は、4点目で上に抜けようと頑張るのですが、押し返され、もう一度トライして4’をつけます。
しかし、売り勢力が強く、上辺で跳ね返されてダブルトップのような形をつけた後、下辺の5点目に到達します。
その後、価格は、上辺の6点目を目指しますが、移動平均線がデッドクロスしたところで道半ばに押し返され、ついに下辺を割り込んで急激な下落を生んでいます。(移動平均線は、各時間足の20移動平均線を基準に入れています。)
このように、他のトレーダーの気持ちになって考えてみますと、いろいろなことが発見できてチャート分析が面白くなります。
ペナントのエントリーポイントと指値、損切の位置について
ペナントのエントリーポイントは、上昇トレンド中のペナントであれば上辺を、下降トレンド中のペナントであれば、下辺をブレイクした時になります。
さて、ペナントは、上下ラインが収縮して押し出されるように抜け出す特性上、抜けたときの勢いが強いので、リテストが入らないことが多いです。
しかし、フラッグの時と違い、ペナントは、形そのものが小さいので、無理にパターンの内側から仕込まなくてもいいかもしれませんね。
よって、抜けたところから飛び乗る必要があるのですが、時々騙しがあります。
この場合、ヒゲだけがびよーんとブレイクしてパターン内に戻ってくる値動きを騙しと呼びます。
トライアングル系では、5点目に騙しをつけることが多いように感じます。
騙しを回避するためには、ブレイクの予兆を敏感に感じ取り、エントリー根拠を積み重ねる必要があります。
また、パターンを形作るラインをローソク足の実体がしっかりブレイクしたことを確認してエントリーすることも時には大切です。
移動平均線とのからみに注目する
先ほど少し触れましたが、フラッグもペナントもパターンの中に移動平均線が絡んでくることを覚えておいてください。
これらの形が現れるときは、直前に急激な上昇若しくは下降のトレンドが存在していることが多く、価格の急激な伸びの後、利益確定をする勢力と新規にポジションをとる勢力が拮抗する、いわゆる持ち合い相場とも言えます。
しかし、ペナントの場合は、その規模が小さいので、「小休止」と捉えることができるのです。
小休止ですから、移動平均線の追い付きを待って、再び同一トレンドの方向へ急伸することが多いのがこの形の特徴です。
上図を見ていただければわかると思うのですが、どちらかというと、「移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスが一つのトリガーになってトレンドの継続を呼ぶ」と捉える方がよいかもしれません。
オシレーター系指標に注目!ダイバージェンシーが変化を先読みする
私は、ストキャスティクスというオシレーター系が好きなので、好んで使っています。
とは言っても、教科書に書いてあるような、「80%ラインを上から下に抜けたら売り、20%ラインを下から上に抜けたら買い」という使い方はしていません。
主に見ているのは、「ダイバージェンシー」です。
ダイバージェンシーは、簡単に説明すると「ストキャスティクスの高値ラインは切り上がっているのに、実際の価格は高値が切り下がっている。」とか、「ストキャスティクスの高値ラインは切り下がっているのに、実際の価格は高値が切り上がっている。」などの異常事態を言います。(安値切り下がり、切り上がりも同様に考えます。)
異常と表現したのは、通常、ストキャスティクスと実際の価格は、ラインが同じ切り上がり(切り下がり)方をしていることが多いという前提があるからです。
では、再び4時間足チャートです。
実際に見てみましょう。
見事にダイバージェンシーが起こっています。
一つ補足をさせてください。
教科書的には、逆の説明、つまり、
- 「実際の価格は高値が切り下がっているのに、ストキャスティクスの高値ラインは切り上がっている。」→上昇
- 「実際の価格は高値が切り上がっているのに、ストキャスティクスの高値ラインは切り下がっているの。」→下降
と言った説明も多く見受けられます。
要するに、ストキャスティクスを主と捉えるか、実際の価格を主と捉えるかの違いですが、個人的には、どちらの場合もあり得る。
しかも、ダイバージェンシーが必ず起こるとは限らないし、起こったからといって、必ず相場状況が変化するわけではない。
しかし、ダイバージェンシーが起こっているということは、少なからず「相場に何かが起こっている。」だから、「相場状況が変化するかもしれない。」と考えてください。
ストキャスティクスの使い方については、また詳しく記事を書く予定です。
5点目に注目
他のチャートパターン、例えばフラッグなどでもそうですが、パターンの中で5点つけた後にブレイクすることが多いです。
ただし、これは、あくまで目安です。
あまりにも勢いが強い相場状況では、5点つけずに抜けることもありますし、逆に長丁場になれば、5点目をブレイク後、価格がパターン内に戻ってきて7点、8点と何度も上下のラインで押し返されることもあります。
よって、5点目をつけたとき、すぐに飛び乗るのではなく、「そろそろ抜けるかな。」と構えておく必要があるのです。
より小さな時間軸で確認する
エントリーをより正確に判断するためには、小さな時間足でタイミングを計ることも重要です。
4時間で形を確認したならば、1時間、15分とエントリーへの決心が固まると同時に時間軸を下げていきましょう。
例えば、上記の例で15分足を図にしてみます。
最初の図から下辺に2本のラインを引いていたことに関して、気になっている方もいらっしゃると思いますので。補足説明をさせていただきます。
3が確定した段階で、1-3ラインが引けるわけですが、その前の安値が本来のトレンドの始点であるはずですから、なんだか不自然に感じませんか?
つまり、2本目のラインは、下図の1,3が確定した後、そのひとつ前の安値に平行移動したラインになります。
すると、見事に5のひげ先を当てた、というより、「5が本来のラインに反応して確定した」と表現した方が正しいと思います。
これは、非常によくあるパターンですので、「おや?」と感じたら忘れずに引いておくようにしてください。
そして、価格は、本来の5をつけて再度反発しましたが、移動平均線に2回トライして失敗し、いよいよ下落の局面です。
本記事では、この抜けの点を5’として説明し、エントリーポイントとして解説しています。
さて、5で抜けると信じて疑わなかった人は、ここで騙しに遭ったはずです。
しかし、本来トレンド継続のパターンですし、損切も4の上あたりに置いていると思いますので、誤差の範囲としてこのまま下がるのを待つもよいでしょう。
騙しが嫌で、しかも2本目のラインを引かない場合は、ローソクが下辺を実体レベルで抜けるのを待つべきです。
ただし、4時間足レベルでは、一本見送ると値幅が大きく、かなりの損になりますので、15分足でタイミングを計るのがよいでしょう。
さて、話をもとに戻します。
エントリーポイントは、上図の通り、1から3まで示しています。
エントリーポイント1
まずは、まぎれもないエントリーポイント1は、必ず押さえておかなければなりません。
エントリーポイント1で飛び乗ったら、次に値幅観測を行います。
ペナントの場合は、まず、最小目標として、ペナントを形作った最初の波の値幅を狙っていきます。
まず、最初の波に適当にラインを当てて値幅観測し、そのラインを下抜けたポイントに平行移動します。
平行移動したラインの先に水平線を当てると、目標が見えてきます。
よって、ここに指値を置きます。
損切は、上辺の4の少し上あたりが良いと思います。
ペナントの中に置きたいところですが、価格がペナントの中に戻ってくる可能性もあります。
損切に遭ってから価格が思惑通りに動いたら、これほど悔しいことはありません。(本当に)
エントリーポイント2
その後、価格が下がってきたら、最初の第一関門は、トレンドの始点からの水平線です。
世界中のトレーダーがここを一つの利確の目安にしている証拠で、実際にこのライン上でうねうねと価格がもんでいます。
しかし、ペナントの本来すべき指値はもっと下にあるので、移動平均線の追い付きをきっかけにして急激な下落を生んでいます。
ここが2番目のエントリーポイントになります。
1番目で乗れなかった場合は、価格が移動平均線に寄って来るのを待って、ここから乗るべきポイントです。
若しくは、増し玉をして、さらなる利益を狙うポイントにもなります。
エントリーポイント3
さて、ペナントの最初の波の値幅観測分を獲ったら次のエントリーポイント3を狙っていきます。
ここで、もう一度4時間足の図を見て下さい。
今度は、ペナントの直近の下降トレンドの値幅を抜けたところに平行移動してみました。
最初に説明したとおり、見事に値幅分到達していることがわかります。
じゃあ、最初からこの値幅分に指値を置けばいいじゃないか、というご指摘もありそうです。
まさにそのとおり、度胸のある方は、最初からこちらの指値を選択すべきです。
ただし、私はチキントレーダーですので、「相場に絶対はない。」という信念のもと、まずはペナントの値幅分を狙っています。
さて、話を15分足に戻します。
エントリーポイント3は、目標値をクリアした後、小さくダブルボトムを作りました。
ダブルボトムを作ったら、すべきことはネックラインを引くことです。
ネックラインを上にブレイクした後、価格は、値幅観測の水平線付近でリテストをつけました。
ここでもまたポイントです。
通常、ダブルボトムは、ネックラインをブレイクした後、ネックラインにリテストをつけてダブルボトムの値幅分上昇するのがセオリーですが、上記の図の場合、どう見ても値幅分は到達していないことがわかります。
まさか、この15分足で逆張りロングを仕込む人はいないと思いますが(いたらごめんなさい。)
そして、この事実が、売りの勢力の強さを物語っています。
「ダブルボトムが出たから買い」と単純に考えるのではなく、「長期足の状況は下降トレンドで、さらにペナントも出現しているのに前のトレンド分の値幅を食っていない」「それにも関わらず、ダブルボトムが出現して上を一度示唆したが、やっぱり失敗パターンに終わった。」「だから、下方向への勢いが強いんだ」等と段階的に考える必要があると思います。
ここからさらにダブルボトム失敗の形になり、価格はネックラインを割り込んできました。
よって、この辺りで3回目のエントリーを仕掛けます。
指値は、当然、4時間足チャートでお伝えした、ペナントの直近下降トレンドの値幅分になります。
おわりに
いかがでしたか。
フラッグと一緒に説明されることの多いペナントですが、その理由は共通点が多いことに他なりません。
例えば、
- 直近のトレンドが勢いのある急こう配であること。
- トレンドの中盤に現れる小休止の場面であること。
- パターン内に移動平均線が絡んでくること。
- パターンを抜けた後、まずは、パターンの値幅分動くが、その後、直近のトレンドと同じ値幅分動くことが多いこと。
- 何よりも、フラッグは、「四角い旗」、ペナントは、「小さな三角形の旗」、つまりは、同じ旗であること。
等です。
似たような状況下で出現し、トレード方法にも共通点が多いこれらのパターンに精通して、トレードの幅を広げてみてはいかがでしょうか。