移動平均線

移動平均線とは

今回は、移動平均線やその使い方についてご紹介します。

移動平均線は、1920年ころにアメリカで開発されたテクニカル指標です。

その後、1960年にアメリカのアナリストであるジョゼフ・E・グランビル「グランビルの法則」を出版し、広く知られるようになりました。

現在では、株やFXをやっている人の間では、知らない人はいないだろうというほど有名なテクニカル分析指標ですね。

移動平均線は、その単純な成り立ちから、非常にわかりやすい分析手法なのですが、その分、素晴らしい可能性を秘めており、意味と使い方をマスターすれば、必ずトレードの強い味方になってくれます。

これまでに、ただなんとなく移動平均線を使ってきた方も、この記事でその神髄をご理解いただければ、トレードの強い味方になることは間違いありません。

移動平均線の種類

少し序盤でハードルを上げすぎた感が否めませんが。汗

まず、移動平均線の種類について軽く触れておきたいと思います。

移動平均線は、一般的に3種類あります。

  • 単純移動平均線(SMA、Simple Moving Average)
  • 指数平滑移動平均線(EMA、Exponential Moving Average)
  • 加重移動平均線(WMA、Weighted Moving Average)

です。

移動平均線,SMA,EMA,WMA

単純移動平均線(SMA)とは

まず、最も愛用者の多い単純移動平均線(以下SMAという。)から順番に説明していきます。

SMAは、当日を含むn日間の終値の合計を単純にn日で割ったものと定義します。

当日の終値をC、前日の終値をC1として5日間の移動平均の計算式を挙げると

5日間の移動平均=(C+C1+C2+C3+C4+C5)÷5

となります。

具体例を挙げれば、ドル円相場の

当日の終値・・・100円

2日前の終値・・・101円

3日前の終値・・・100円

4日前の終値・・・99円

5日前の終値・・103円

であれば、(100+101+100+99+103)÷5=100,6円(100円10銭)

となります。

そして、これらの計算式で求められた過去n日間の移動平均値をチャート上に描画し、線でつなげて価格の動きを滑らかにしたものがSMAなのです。

とても単純明快でわかりやすいですよね。

SMAは特に日本人に馴染みがあり、単純な性質から初心者にも優しいのはもちろん、テラントレーダーにも愛用されています。

個人的には、その単純な性質から相場の対局を読むのに適していて、スイングトレードなんかにはバッチリはまると思います。

指数平滑移動平均線(EMA)とは

次に、指数平滑移動平均線(以下EMAという。)です。

EMA過去の価格よりも、直近の価格を重視して値を計算された移動平均線です。

よって、SMAに比べ、直近の値動きに対する反応が良く、トレンドの転換点をより早く察知することができます。

計算式にすると、以下の様になります。

<第一日目の計算>

n日間の単純移動平均値=n日間の終値の合計÷n

<第二日目以降の計算>

n日間の指数移動平均=前日の指数平滑移動平均値+α×(当日終値−前日の指数平滑移動平均値)

※αは平滑化定数=2÷(n+1)

数式にすると途端に難しくなりますが、要するに、SMAが単純に過去n日間の終値の合計をnで割って求め、それらの値を線でつないだものであるのに対し、EMAは、昨日までの数値の代わりに、昨日の平均値を使用し、当日の終値を2倍して、さらに分母に1を足した数字で割って求める(当日の価格を2倍にして足しているため)ことに違いがあります。

と言われても、やはりピンとこない方も多くおられると思います。

移動平均線の成り立ちを理解することは重要ですが、計算式まで記憶する必要性はないと思います。

よって、EMAの特徴は、先ほども申し上げましたが、

  • 当日の価格を2倍にして計算することで重視している。
  • よって、SMAに比べ、直近の値動きに対する反応が良く、トレンドの転換点をより早く知ることができる。

と覚えておきましょう。

加重移動平均線(WMA)とは

さて、最後の加重移動平均線(以下WMAという。)ですが、これは、個々の価格データへの荷重を線形的に減少させて平均値を取得するものです。

5日を例に挙げて計算式にすると、

5日加重移動平均=(当日の終値×5+前日の終値×4+前々日終値×3+さらに前日の終値×2+さらに前日の終値      ×1)÷(5+4+3+2+1)

となります。

計算式からもわかるとおり、当日の終値を重視していることは確かなのですが、前日の終値にもそれなりに比重を置いています。

よって、トレンドが急激に変化した相場では、実際の価格から置いてけぼりをくうというか、EMAに比べて鈍感なので、使っているという人は少ないそうです。

はっきり言えば好みの問題なのでしょうし、WMAにも有益な使い道はあると思いますが、私自身WMAは使ったことがありません。

移動平均線の持つ本当の意味

ところで、移動平均線の本当の意味を知っていますか。

どのような分析手法もそうなのですが、その本当の意味をわからずに使っていると、うまくいかなかった時に、「この指標は使えない。」と切り捨ててしまいそうですよね。

しかし、それではあまりにももったいないと思います。

ここでは、移動平均線の本当の意味について考えていきましょう。

現在のトレンドの方向を判断することができる

移動平均線は、単純に何日間かの終値の合計を同じ日数で割った平均値であったり、直近の値動きをより重視したものであったりしますが、結局は、過去の終値の平均を線でつなぎ合わせてチャート上に描画したものです。

つまり、移動平均線をチャート上に表示することによって、価格の動きが視覚的に滑らかに見えるようになる。

よって、今相場がどの方向へ向かって進んでいくのか、というトレンドの方向性が一目でわかる、という特徴があります。

過去の平均終値と現在の価格を比べて今後の判断材料にできる

例えば、現在の価格が20日移動平均線よりも上にある場合、皆さんはどのように相場を見ているでしょうか。

単純に「価格が20日移動平均線を上抜けているから上目線」と言えば、間違いではないのですが、それではしっかり理解していることになりません。

もっと詳しく説明するならば、

  • 「過去20日間に買いを仕込んだトレーダーは、稼いでいる。」
  • 「過去20日間に売りを仕込んだトレーダーは、損をしている。」

と言えます。

逆に、現在の価格が20日移動平均線よりも下にある場合、

  • 「過去20日間に売りを仕込んだトレーダーは、儲かっている。」
  • 「過去20日間に買いを仕込んだトレーダーは、損をしている。」

ということになります。

それから、マーケットが値動きする理由も考えてみましょう。

※他のトレード根拠が何もない状態で、単に価格が移動平均線の下にある時に買うって順張り派のトレーダーは少ないという前提でお話しますが。(いらっしゃったら本当にすいません。)

現在の価格が20日移動平均線より上にある場合、

  • 「過去20日間の値動きよりも高い価格なのを承知で(高いからこそ儲かると考えて)買いを仕込むトレーダーがいる」
  • 「過去何日間の間に売りを仕込んだが、現在価格が上がって損をしているため、これ以上損失を出さないため損切する」

=価格が上昇する

次に、現在の価格が20日移動平均線より下にある場合、

  • 「過去20日間の値動きよりも低い価格なのを承知で(低いからこそ儲かると考えて)売りを仕込むトレーダーがいる」
  • 「過去何日間の間に買いを仕込んだが、現在価格が下がって損をしているため、これ以上損失を出さないため損切する」

=価格が下降する。

といえます。

結局何が言いたいかと言いますと、現在の価格より移動平均線が上にあるか、下にあるかによって、過去に売買したトレーダーが、

  • 「今現在儲かっているのか、損をしているのか」というトレーダーの状況
  • 「今後、買いを仕込むのか、売りを仕込むのか」というトレーダーの今後の売買の方針
  • 「損切をするのか、するとすればどこが節目のポイントか」というトレーダーの損切位置

等を予想することが可能で、今後、マーケットのトレンドがどの方向へ進むのかを判断するための材料の一つとなり得るということなのです。

移動平均線の使い方

それでは、やっと本題です。笑

移動平均線の使い方について説明します。

まず、前提として、私自身SMAとEMAしか使ったことがありませんし、実際、世の中のトレーダーでWMAを利用している人は少ない(多分ですけど)と思いますので、SMAとEMAに絞って解説していきます。

移動平均線の設定について

移動平均線の設定数値ですが、基本的にはその人の好みです。

好みと言われても、初心者の方にはたたき台の数値が必要と思いますので例を挙げておきます。

それは、5日、20日、75日、200日です。

日足を前提でお話しますが、基本的にどの時間足でも効き目はあります。

まず、FXや株の相場は、週休二日制をとっていまして、土日はマーケットが開いていません。

よって、一週間の内、土日を外した5日間短期線として採用します。

同様に、1か月単位でマーケットが開いている日数を概算すると、大体20日になります。

3か月単位ですと75日

20日と75日のどちらか、あるいは両方を中期線として採用します。

最後に、1年間から土日を外すと、約200日

よって、200日長期線として採用します。

 一年の週=365÷7=52週と一日、一年で土日は、約104日とするならば、一年の  内、平日は、365-104=261日です。(でも、なぜか一般的に言われているのは、200日、200日が一番有名なんでよね、どうしてでしょう?)

昔は、半ドンといって、土曜日は半日だけマーケットが開いていました。

その名残?でしょうか、現在でも75日や200日の移動平均線が好んで使われています。

そうすると、現在のマーケットのことを考えれば、5日や20日のほうが信憑性が高いように思われます。(私も実際は20日移動平均線しか使っていません。)

しかし、どんな指標でもそれを売買に使う人が多ければ実際に機能するのがマーケットの性格でもあります。

例えば、200日の移動平均線は、グランビルの法則でも取り上げられ、世界中に愛用者が多い移動平均線なので、それはそれで大いに機能する、という理屈なのでしょう。

とはいえ、しつこいようですが、パラメーターは好みの問題です。

自分が取り組んでいる銘柄や主戦場としている時間帯、時間足によって調整するのが大原則となります。

とはいえ、中でも200日移動平均線は、グランビルの法則の著書の中で取り上げられており、世界中のトレーダーから愛用されている(らしい)です。

私の場合は、神様と称える天才トレーダーの影響を受けて、すべての時間足で20日を軸に移動平均線を設定しています。

ゴールデンクロスとデッドクロス

さて、移動平均線を用いた手法で一番有名なのは、このゴールデンクロスとデッドクロスでしょう。

何よりもわかりやすくて初心者の方におすすめできる取引手法だと思います。

それでは、さっそくご紹介します。

ゴールデンクロスとデッドクロスは、移動平均線を使った取引方法として最もポピュラーな手法でしょう。

ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を下から上へ突き抜ける形でクロスする形の時を言い、一般的に買いのサインと言われています。

次に、デッドクロスというのは、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜ける形でクロスする形の時を言い、一般的に売りのサインと言われています。

まず、チャート上に移動平均線を表示しましょう。

ここでは、私が普段使っているパラメータでご紹介します。

移動平均線は、EMAで、20日移動平均線と120日移動平均線の2本表示。

時間足は、4時間とします。

このように設定している理由は、日足の20日移動平均線が4時間足の120日移動平均線に相当するからです。

つまり、この2本の移動平均線がゴールデンクロス、デッドクロスして相場が進行するということは、4時間足と日足の目線が揃ったことを意味します。

ゴールデンクロスとデッドクロスの図

 

図の左側に注目してください。

短期の20日移動平均線が長期の120日移動平均線を下から上にゴールデンクロスしています。

その後、価格は、120日移動平均線の上でバウンドし、勢いをつけて上昇しています。

その後、価格は、20日移動平均線と120日移動平均線を下抜けた後、20日移動平均線が120日移動平均線に当たってバウンドし、再び価格が上昇しています。

さらにその後、価格は、頭打ちして下落、20日移動平均線が120日移動平均線を下抜けしてデッドクロスの形を作り、その後、価格は、20日移動平均線にバウンドして勢いをつけて下落しています。

ただ、初心者向けの教科書には、ゴールデンクロスの時に買って、デッドクロスの時に売る、と単純に紹介されていることが多いこの手法ですが、この手法を機械的に繰り返したからといってトータルで勝っていけるほどFXの勝負は甘くありません。

こんなキレイに儲かりそうな相場、あんまりないですよね。

下の図をご覧ください。

ゴールデンクロスデッドクロス、もみあい相場

この図は、上昇トレンドから一休止してもみあい相場を形成している図です。

移動平均線は、過去の値動きの平均を線上化し、その傾きによって、トレンドの方向や強弱を見る指標です。

この図のようなもみあい相場においては、2本の移動平均線が頻繁にクロスを繰り返しており、

  • デッドクロスを確認して売りを仕込んだ時に、相場は下がりきっていて、その後上昇
  • ゴールデンクロスを確認して買いを仕込むと、その時の相場すでに上がりきっていて、その後下落

してしまう。(これを俗にダマシと呼びます)

要するに、機械的にゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売るという手法を繰り返してもトータルで勝てないことがわかります。

もちろん、偶然にも大きなトレンドに乗れていれば大勝利ですが、大抵、その後のもみ合い相場で、せっかくの利益を吹っ飛ばし口座残高がマイナスになった、なんてこともあり得るわけですね。

では、どうすればいいのでしょうか。

移動平均線による分析は、そのシンプルさゆえに最強の指標であると私は考えています。

要は、その意味を理解し、使い方を覚えるということ。

まずは、移動平均線の弱点を知り、その弱点を克服する方法を学びましょう。

移動平均線の弱点

移動平均線は、その過去の終値から導き出す計算式からもわかる通り、結局は後追いの指標です。

後追いの指標というのは、要するに、将来を確実に見通す力はないということです。

また、それ故に、ゴールデンクロスとデッドクロスのところでも述べたとおり、もみ合いの相場ではダマシが多発してしまい、せっかくトレンドフォローがうまくいって儲けた利益を吹っ飛ばすなんてこともあり得ます。

移動平均線を3本使ったトレード戦略

前述のとおり、移動平均線はもみ合い相場に弱いので、ゴールデンクロス、デッドクロスを確認してエントリーする売買方法を機械的に繰り返したところで、長期的に勝ち続けていくことはできません。

しかし、多少後追いの指標でも、トレンドの発生や方向性を一目で教えてくれる移動平均線は、トレンドフォローの指標としては大変力強い味方なのです。

そこで、移動平均線の長期線、中期線、短期線の3本をチャート上に表示して、それぞれの移動平均線の傾きや開き方、実際の価格との関係を総合的に見ながらトレンドを判断してみましょう。

使う移動平均線は、お好みで何日でもいいのですが、せっかくですから、先ほど紹介した5日、20日、75日を短期線、中期線、長期戦としてチャート上に表示させます。

goldencross-perfectorder

 

一目でわかるとおり、見事な上昇トレンドですね。

長期線が綺麗な右肩上がりをつけて上昇しています。

図はちょっと切れてしまってますが、下降トレンドから上昇トレンドに変わる場合、

  1. 期線が中期線を下から上に突き抜けてゴールデンクロスする(下から中・短・長の並びになる)
  2. 短期線が長期線を下から上に突き抜けてゴールデンクロスする(下から中・長・短の並びになる)
  3. 中期線が長期線を下から上に突き抜けてゴールデンクロスする(下から長・中・短の並びになる)

下から、長期線、中期線、短期線の順番でパーフェクトオーダーを達成する

というプロセスを踏みます。

そして、パーフェクトオーダーを達成し、3本の移動平均線の傾きが右肩上がりで、間隔ある程度の間隔を開け、安定して上昇している相場ほど獲りやすいものはありません。

次にデッドクロスのパーフェクトオーダーです。

deadcross-perfectorder

こちらは、見事な下降トレンドですね。

長期線が綺麗な右肩上がりをつけて上昇しています。

上昇トレンドから下降トレンドに変わる場合、

  1. 短期線が中期線を上から下に突き抜けてデッドクロスする(上から中・短・長の並びになる)
  2. 短期線が長期線を上から下に突き抜けてデッドクロスする(上から中・長・短の並びになる)
  3. 中期線が長期線を上から下に突き抜けてデッドクロスする(上から長・中・短の並びになる)

=上から、長期線、中期線、短期線の順番でパーフェクトオーダーを達成する

というプロセスを踏みます。

そして、パーフェクトオーダーを達成し、3本の移動平均線の傾きが右肩下がりで、間隔ある程度の間隔を開け、安定して下降している相場ほど獲りやすいものはありません。

移動平均線のみを解説している教科書では、パーフェクトオーダー確認後仕掛ける→パーフェクトオーダーが崩れる→決済などのように単純に説明されていることも多いです。

この手法を否定するつもりはありませんが、例えば、

  • 移動平均線と価格、移動平均線と移動平均線がごちゃごちゃと絡んで方向性が分からない時には仕掛けない。
  • パーフェクトオーダーになっても、まだ長期線の傾きが緩い場合や、3本の移動平均線の間隔が狭い場合は、慎重に仕掛ける。

等の工夫と注意が必要です。

また、補足ですが、移動平均線を極めれば、これだけで勝てると豪語するトレーダーのブログなんかたまに見かけますけど、そんなわきゃない、と個人的には思います。

確かに使っているインジケータは移動平均線だけなのかもしれませんが、その他の色々な理論や知識、経験に裏打ちされた実績であることが容易に想像できますので、まだ相場に慣れていない初心者の方は、あまり鵜呑みにして、他の知識を吸収しないなんてことないほうがよいです。

 

しかし、それでも、ほかの指標や理論を学び、根拠を重ねた勝負所では、ゴールデンクロスやデッドクロスは、仕掛けのとびきりの素敵なスパイスとなるに違いありません。

いかかでしたでしょうか。

今回は、移動平均線の性質や具体的な使い方などについて説明しました。

次回はグランビルの法則や、他の理論と組み合わせた実践的な手法等について研究していきたいと思います。